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井野長割遺跡 | 縄文人の分譲地?佐倉の住宅街に眠る“盛土遺跡”を深掘り

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住宅地のすき間にふと現れる、草に囲まれた円形のくぼみ。
「なんだろう、昔の公園跡?」「いや、ちょっとした土手かな?」なんて通り過ぎてしまいそうですが――

ここ、実は縄文時代中期(約4,500〜4,000年前)の超貴重な遺跡、「井野長割遺跡」なんです。
しかも、ただの遺跡じゃありません。ここに広がっていたのは、環状に土を盛り、集まって暮らしていた縄文人たちの“円形ニュータウン”だったのです。

環状盛土遺構ってなに?団地?サークル?

井野長割遺跡は、円形にぐるっと掘った溝から出た土を周囲に盛り、その中に複数の住居を構えていたとされる“環状盛土遺構”。
資料によれば、ここでは少なくとも12軒分の住居跡が確認されており、さらに土器、石器、貝殻、動物の骨、人骨までもが発見されています。
考古学的には「共同墓地的な意味合いも?」という話もありますが、私たちとしてはこう呼びたい。

「井野縄文団地」

そう、現代の分譲地さながらに、家が集まり、人が暮らし、モノが捨てられ(貝塚!)、亡くなった人もそばに眠る。暮らしのすべてがここに凝縮されていたと考えると、想像だけでワクワクが止まりません

でも、見に行けない!?プレミア遺跡の宿命

さあ行こう、井野長割遺跡へ!……と思ったあなた、ちょっと待った
この遺跡、現在は原則非公開・立入禁止です。理由は明快、とにかく貴重すぎるから。盛土の形や周囲の地形などがほぼ“発掘当時のまま”残されており、手を加えずに未来へ残すという方針で管理されています。

見学を希望される方は、市が不定期で開催する見学会や学習イベントのタイミングを狙ってください。もはやこれは、“縄文プレミアチケット”。参加できた人はかなりレアです。

住宅地×遺跡=ロマン

さらに面白いのは、この遺跡のすぐそばに現在の住宅街が広がっていること。
現代人と縄文人が、時を超えてほぼ同じ場所に家を建てているなんて――これはもう、“まちづくりDNA”と呼びたくなる一致。
井野長割遺跡は、佐倉の静かな住宅地の中に、ひっそりと、しかし確かに存在しています。縄文人が土を盛って家を建てた場所を、今も私たちは通勤通学やお散歩で歩いているのです。

まとめ:縄文人に学ぶ「暮らしとまち」

この遺跡は、単に「古いものが残っている」だけではありません。
私たちが今、地域でどう暮らし、どうまちをつくっていくのか。そのヒントが、4,000年前の人たちの暮らしの中にそっと眠っています。
家が集まり、ゴミ(貝殻)が捨てられ、死者が埋葬され、人が集って語らった場所――それが井野長割遺跡。
現代のまちづくりも、根本はそう変わっていないのかもしれません。

基本情報

所在地:佐倉市井野
アクセス:京成志津駅から徒歩約15分
遺跡種別:環状盛土遺構(縄文時代中期)
見学:通常時は立入不可。見学会などの機会を活用してください。
文化財指定:千葉県指定史跡(平成13年)